PGVスタッフブログ『ハルの脳日記 〜睡眠編』

Episode2-11 「ネバーエンディングストーリー」

作成者: PGV Service Blog|Mar 4, 2024 4:00:00 AM

 

 


Episode2-11ネバーエンディングストーリー

 

 

「・・・まず、今回の『ガンマ帯=集中力変化』の実験結果をまとめると、次ページのようになります」



多部さんのオフィスの会議室。
今日は先日の実験を統計解析した結果を、部長さん達も含めた皆様に報告に来ています。

「今回、被験者様10名に対して、ドリンクを飲んだ前後での脳波変化を調べました。
 このように、ガンマ帯を比較すると、
 drink1では、他のドリンクに比べ、ガンマ帯が高く維持されているのに対して、
 アルファ帯はどのドリンクを飲んでも、変化量に有意な変化は見られない、という結果です」


要点の説明は終わったのですが、歯切れは悪いわたくしハルです。


「それは、drink1が集中力をキープしてる、という意味ですかね?」
「はい、そのような解釈が可能かと思います」
「・・・えっと、すみません、そのdrink1ってなんですか?」
「はい、えーー、これは〇〇飲料さんの "ビビット!" ですね・・・」
「えっ、うちのじゃなくて?」
「はい、御社の今回のテスト品は、drink3とdrink4となっております」


すかさず多部さんがフォローを入れてくれました。


「というわけで、開発のみなさん!
 まだまだ改良・検討の余地あり!という感じです。

 ・・・ちなみに、同時にとった主観アンケートによっても、
 "爽快感・スッキリ" のようなワードが、特にdrink1にはあがってましたが、
 drink3・4はどっちつかず、という印象でしたね」

「他にこの実験から言えることはないの?」
「そうですね、ガンマではなくこちらのアルファの方に注目すると、
 drink1とdrink4は同傾向で下がっている、という感じも受けます。
 有意な差ではないですが、そこから考えると、一つの見方としては、
 リラックスや眠気につながるアルファ波をやや抑えている傾向は、
 drink1と4では傾向が似ている、という印象です」




「なんかもうひとひねり、って感じなんですかねぇ〜? 味に爽快感を加えたらいいのかも?とか」
「でも、"ビビット!" を真似してもしょうがないんじゃないの?」
「うん、そやろね。 でもまあ、今までのフォーカスグループとはまた違って、
 こういう考え方でモノづくりしてみるのも面白いかもやね」


よかった、ひとまずは完全却下される雰囲気ではなさそうですね。今後の議論にもつながっていきそうな予感がします。
多部さんとも目を合わせてうなずき、ちょっとだけ一安心。


「ところで、これって、1つ新しいテストサンプル調べるために、毎回こんなふうに実験しないといけないの?」
「あっ部長、私もそれ思ってました〜。結果は面白いけど、ちょっと大変ですよね」

そこは大きなポイントです。
実験の負荷は製品の評価などにおいては、大きな課題ですものね。

「確かに、ひとつずつのサンプルにこのような実験を繰り返すのは、
 コスト的にも厳しいかと思われます。
 それを補うため、弊社では例えば、AIを使ったソリューションもございます」
「お、今どきな話やね! それ、もちょっと詳しく聞かせてもらえます?」
「計測した脳波データを使って、AIモデルを構築する、という方法なんですが・・・」

 

そんな感じで、今後も多部さんとのプロジェクトは継続できそうだ。

 


エピローグ

「じゃあ次回も、多部さんのオフィスでお打ち合わせで・・・」
「ハルさん、実はうちの社食に行きたいだけなんでしょ・・・?(笑)
「えへへバレたか。・・・いやいや、嘘です嘘です」

「でも、ハルさんにサポートしていただいて、
 私もすごく楽しくこの仕事できてます。

 正直いうと、商品企画もアンケートとか、官能評価とか、
 ルーティン作業みたいなのがまあまあ多くなってて。
 ちょっと新しい風? みたいなの、
吹かせたかったんですよね」

「弊社としても、最初から "これができます!" と言い切れないのは
 もどかしくもあるんですけど、ご一緒できてうれしく思ってます」

「そうそう! 最初すごく慎重だったですもんね、ハルさん。
 あの頃、実は内心モヤモヤしてたんですけど、こうして振り返ると、
 あの慎重さがあるからこそ、自信もってこう言えるんだな、って。

 ・・・ところで、さっきの話。
 私AIとかさっぱりなんですけど・・・ 大丈夫ですかね?」

「はい大丈夫です! わたしも詳しい技術的な話はさっぱりです!(キリッ)
 なので今度、弊社の優秀なAIエンジニアとミーティング設定しますね」


そう、脳波について全部がわかってなくても、技術について全部はわからなくても、わたくしにはいっしょに脳波の探究を続けていける、強いチームがいてくれる。さあて、来週のチームのみんなの予定は・・っと!

 


さて、本ブログ『ハルの脳日記』のシーズン2となる『脳波実験編』も今回で最終回です。
これまでお読みいただき、本当にありがとうございました。このブログが、少しでもみなさまのお役に立てたら幸いです。

またいつか、別のテーマでブログを書いてみようと考えていますので、
よろしければ、そのときにもお読みいただければ、うれしく思います。
それでは、また! お元気で。


2024.03.04

(脳波実験編 完)

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