PGVスタッフブログ『ハルの脳日記』

Episode2-11 「ネバーエンディングストーリー」

 

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Episode2-11ネバーエンディングストーリー

 


 

「・・・まず、今回の『ガンマ帯=集中力変化』における脳波計測の実験結果をまとめると、次ページのようになります」

説明者ハル

多部さんのオフィスの会議室。
今日は先日の脳波実験を、統計解析した結果を、部長さん達も含めた皆様にご報告に来ています。

「今回、被験者様10名に対して、ドリンクを飲んだ前後での脳波変化を調べました。
 このように、ガンマ帯を比較すると、
 drink1では、他のドリンクに比べ、ガンマ帯が高く維持されているのに対して、
 アルファ帯はどのドリンクを飲んでも、変化量に有意な変化は見られない、という結果です」


レポートの要点説明は終わったのですが、歯切れは悪いわたくしハルです。


「それは、drink1が集中力をキープしてる、という意味ですかね?」試験品とグラフの対応
「はい、そのような解釈が可能かと思います」
「・・・えっと、すみません、そのdrink1ってなんですか?」
「はい、えーー、これは〇〇飲料さんの "ビビット!" ですね・・・」
「えっ、うちのじゃなくて?」
「はい、御社の今回のテスト品は、drink3とdrink4となっております」


すかさず多部さんがフォローを入れてくれました。


「というわけで、開発のみなさん!
 まだまだ改良・検討の余地あり!という感じです。

 ・・・ちなみに、同時にとった主観アンケートによっても、
 "爽快感・スッキリ" のようなワードが、特にdrink1にはあがってましたが、
 drink3・4はどっちつかず、という印象でしたね」

「他にこの実験から言えることはないの?」
「そうですね、ガンマではなくこちらのアルファの方に注目すると、
 drink1とdrink4は同傾向で下がっている、という感じも受けます。
 有意な差ではないですが、そこから考えると、一つの見方としては、
 リラックスや眠気につながるアルファ波をやや抑えている傾向は、
 drink1と4では傾向が似ている、という印象です」


会議中の風景

「なんかもうひとひねり、って感じなんですかねぇ〜? 味に爽快感を加えたらいいのかも?とか」
「でも、"ビビット!" を真似してもしょうがないんじゃないの?」
「うん、そやろね。 でもまあ、今までのフォーカスグループとはまた違って、
 こういう考え方でモノづくりしてみるのも面白いかもやね」


よかった、ひとまずは完全却下される雰囲気ではなさそうですね。今後の議論にもつながっていきそうな予感がします。
多部さんとも目を合わせてうなずき、ちょっとだけ一安心。


「ところで、これって、1つ新しいテストサンプル調べるために、毎回こんなふうに実験しないといけないの?」
「あっ部長、私もそれ思ってました〜。結果は面白いけど、ちょっと大変ですよね」

そこは大きなポイントです。
実験の負荷は製品の評価などにおいては、大きな課題ですものね。

「確かに、ひとつずつのサンプルにこのような実験を繰り返すのは、
 コスト的にも厳しいかと思われます。
 それを補うため、弊社では例えば、AIを使ったソリューションもございます」
「お、今どきな話やね! それ、もちょっと詳しく聞かせてもらえます?」
「計測した脳波データを使って、AIモデルを構築する、という方法なんですが・・・」

 

そんな感じで、今後も多部さんとのプロジェクトは継続できそうだ。

 



エピローグ

「じゃあ次回も、多部さんのオフィスでお打ち合わせで・・・」
「ハルさん、実はうちの社食に行きたいだけなんでしょ・・・?(笑)未来へハル多部
「えへへバレたか。・・・いやいや、嘘です嘘です」

「でも、ハルさんにサポートしていただいて、
 私もすごく楽しくこの仕事できてます。

 正直いうと、商品企画もアンケートとか、官能評価とか、
 ルーティン作業みたいなのがまあまあ多くなってて。
 ちょっと新しい風? みたいなの、
吹かせたかったんですよね」

「弊社としても、最初から "これができます!" と言い切れないのは
 もどかしくもあるんですけど、ご一緒できてうれしく思ってます」

「そうそう! 最初すごく慎重だったですもんね、ハルさん。
 あの頃、実は内心モヤモヤしてたんですけど、こうして振り返ると、
 あの慎重さがあるからこそ、自信もってこう言えるんだな、って。

 ・・・ところで、さっきの話。
 私AIとかさっぱりなんですけど・・・ 大丈夫ですかね?」

「はい大丈夫です! わたしも詳しい技術的な話はさっぱりです!(キリッ)
 なので今度、弊社の優秀なAIエンジニアとミーティング設定しますね」


そう、脳波について全部がわかってなくても、技術について全部はわからなくても、わたくしにはいっしょに脳波の探究を続けていける、強いチームがいてくれる。さあて、来週のチームのみんなの予定は・・っと!

 



さて、本ブログ『ハルの脳日記』のシーズン2となる『脳波実験編』も今回で最終回です。
これまでお読みいただき、本当にありがとうございました。このブログが、少しでもみなさまのお役に立てたら幸いです。

またいつか、別のテーマでブログを書いてみようと考えていますので、
よろしければ、そのときにもお読みいただければ、うれしく思います。
それでは、また! お元気で。


2024.03.04

(脳波実験編 完)


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