PGVスタッフブログ『ハルの脳日記』

Episode2-5 「絶対なんて、きっとない」

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Episode2-5『絶対なんて、きっとない』

 


 

「ねぇハルさん。その"脳波で疲労"って、どうやって調べるんですか?」
「わたしが以前担当した案件で、こんなプロトコルを試したことがあるんですよ。
 イメージとしてはこうです」

疲労プロトコル1

・計算のようなタスクを繰り返しながら
・その区切りに脳波を繰り返し計測すると
・脳の疲労度を示す脳波の指標が増加していきます。

 これに対し・・・

疲労プロトコル2
 ・・・疲労回復の効果があるドリンクを途中で摂取すると
 疲労の増加が緩くなる、という仮説を立てて、脳波の変化を比較してみるんです」

「なるほど!仕事と計算タスクって、似たような感じですもんね。・・・あ、それでさらに
 "ドリンクAの場合はこうで、ドリンクBの場合と比べると・・・" ってことかな?」

「そうですそうです!
 グラフの傾きがを比べることで、ドリンクAとBの影響度の違いが言えそうですよね」脳波の比較の手のひら


「でもそれって、本当にやる気?なんですかぁ?
 ほんとに "ただの疲労回復" だったりして」

「そういう疑いも考えられますよね。なので、例えば
 "疲労回復に効果がある"と一定の根拠のあるドリンクCとも比較する、
 なども追加して調べるとさらに良い、でしょうね」
「ふむふむ! ちょっと面白くなってきました! ・・・ん? 今気づいたんですけど
 ここまでの話、全部 "脳波の比較" しかしてない感じ・・・?」

「さすが多部さん! 脳波の考え方に馴染んできた感じですね!」


そう、絶対的な脳波の基準みたいなのがない現状、相対的な比較で何かを調べる、というのが今時点のPGVのスタイル。だから、今までの話は「前後」や「AとB」の比較で、証拠をコツコツ組み立てる方法をとっているのです。
ひとつひとつ、例をあげてご説明することで、この考え方に多部さんも徐々に馴染んでくださっているようです。


一般的な医療機器、例えば「体温計」は「温度」という絶対的な物差しがありますね。
体温計なら、絶対値でそのまま判断できちゃいます。つまり、「測った数値が高ければ、体温が高い (=体調が悪いかもしれない)」。とってもシンプルです。

それに対して脳波は、「脳の活動を表してはいるが、脳がどうなるとどう表れるのかわからない。だから絶対的な基準がまだない」のです。

体温計と脳波計
PGVは会社のビジョンとして「体温計のような脳波計」を目指しているのですが、その目標に到達するには、このくらいコツコツと脳波の知見を積み重ねて、よりシンプルに言い切れる基準に一歩一歩近づいていく必要があるのです。道のりは遠いです。


「脳波の世界でも ”集中力”だけは、少しだけ絶対値に近い脳波の基準を使いますけどね。
 でもそれ以外は "比較" です」

「確かに、これくらい地道なやり方で証明したら、文句言えなさそうだなあ」

そうなのです。
ほんの少しの解明されている脳波の特徴と、その比較。これらを幾重にも組み合わせて、しっかりと基礎から調べていこう。
地道で回りくどくても、それがいつか脳波をもっと花開かせる。きっと・・・。

「・・・うん。”集中力” がいいかもしれないな・・・」
「ん? ハルさん、”疲労”とか”集中力”とか、頭こんがらがってきた・・・」
「ごめんなさい!それこそ今日はもう集中力切れちゃいましたよね。
 多部さん。ご相談ですが、次回はもう少し御社の商品とともに、
 具体的に実験の内容をイメージするために、多部さんのオフィスにお邪魔できませんか?」

 

2024.01.22

(つづく)

 


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