脳波とAIの基礎知識

脳波のAI解析をはじめよう!①脳波は優秀な生体信号

脳波が現在多くの注目を集めています。脳波は非侵襲で計測できる生体信号の中で最も細かな粒度でヒトの活動や状態を評価できる可能性があることが長所です。一方で、脳波が非侵襲でも手軽に計測・解析が難しい(=扱いにくい)ことが短所です。今回は脳波の長所・短所を説明します。


脳波は人の活動・状態を客観視するための便利な生体信号

生体信号はヒトの活動や状態を客観的に評価するために広く使用されています。生体信号として、より身近なものは、体温、血圧が連想され、もっと高度なものでは、脈拍や心拍が挙げられます。これらを測定することにより、問診やアンケート(主観的評価)では気付かない体の不調などを客観的に知ることができます。

先に挙げた生体信号は非侵襲なもので手軽にいつでも計測・解析できて便利なのですが、評価できる粒度には難点があります。例えば、体温や血圧が高いからといって、これだけで病気の原因を特定することはできません。結局はより細かな粒度で評価するために、病院などで侵襲性の高い生体情報(レントゲンや血液採取)を取得する必要があります。病気を検査する為には仕方ないですが、ヒトの活動、例えば製品評価等でわざわざ侵襲性の高い生体信号を取得しないですよね。

ようやく本題ですが、ここに脳波が現在多くの注目を集めている一つの理由があります。脳波は非侵襲で計測できる生体信号の中で体温や血圧、もっというと脈拍や心拍よりも細かな粒度でヒトの活動や状態を評価できる可能性があるためです(長所)。一方で、これまであまり計測されてこなかった事実があり、これは脳波が非侵襲でも”手軽に計測・解析が難しい(=扱いにくい)”からです(短所)。

もちろん、PGVのサービスは脳波の長所を生かしつつ短所を克服しているのですが、今回はまず脳波の長所・短所を説明します。

 

脳波の長所:レスポンスも早く、情報量も多い優秀な生体信号

ヒトの生体信号といえば、脈拍、心拍や筋電です。ただ、これらの生体信号に比べて、脳波はレスポンスが早く、情報量も多く非常に優秀な生体信号と言えます。

脳波は高速レスポンス

そもそも脳波とは何でしょうか?人間は活動している時に脳も常に活動します。その活動は脳内にある神経細胞同士で電気信号を伝達することで支えられています。脳波はその脳の電気活動が染み出した電気的な波です。ですので、脳が活動に依存して脳波が変化します。

「脳波はレスポンスが速い」という理由は簡単です。人間は活動に際して、まず脳が処理して体の各部位に指令を出します。例えば、緊張しているときに脈や心拍が上がりますよね?ただ、緊張を先に感じるのが脳です。その結果として、心臓に指令を出します。ですので、まず変化が起こるのは脳(脳波)です。ですから、脈拍、心拍や筋電よりもレスポンスが速いのは当然です。

脳波は情報量も多い

実際に脳波は0-50Hz程度の変調幅を持って変化する信号です。また、その変化もパターン化されておらず、無限(不規則)に変化します。例えば、本を読んでいる時、映画を見ている時、音楽を聞いている時、それぞれで脳波の波形は違います。

一方、脈拍や心拍はどうでしょう?一定の波形で60〜70Hzを中心に緊張度合い(自律神経の活動)に応じて、速くなったり遅くなったりパターンに従って変化します。例えば、ドキドキする本、映画や音楽を体験しているときでは基本的に全て同じ変化をします。

では、生体信号から見るとどうでしょう?脳波から本、映画、音楽の体験の違いを区別することはできますが、脈拍や心拍では本、映画、音楽の体験の区別の違いを分類することができません。これが脳波が多くの情報量を持っている所以です。

 

脳波の短所:非常に小さい信号で波形も複雑なため扱いにくい

脳波が生体信号に比べて、優秀な生体信号であるにもかかわらず、なぜこれまであまり使われていないのでしょうか?それは、「非常に小さな信号」、「解析にしにく不規則な波形」であるためです。

 

脳波は非常に小さな信号で計測が難しい

脳波の信号強度は1〜50uVです。一方で、心拍や脈拍の信号強度は1~10mVもあり、脳波に比べて200~1,000倍程度も大きいです。例えるなら、東京タワーとヒトを比べているようなものです。脳波を計測するとは東京タワーのような信号が頻繁に発生しているような場所から人の身長程度の信号を捉えるようなものです。「いかに脳波計測が難しいか?」 が容易に想像できます。

 

脳波は複雑な波形で信号解析には困難が伴う

先でお話しした通り、脳波の波形は脈拍や心拍に比べて波形のパターンは無限に存在します。またPGVの脳波計を装着するのは額で、必然的に瞼や眼球の動きに起因した筋電も一緒に計測されます。ですので、波形はさらに複雑になります。この結果、同じ活動や状態においても波形が異なり共通部分を見出す解析に困難が生じます。

脳波と筋電

脳波の短所を克服すると、脳波は非常に便利な生体信号

扱いにくい短所さえ克服できれば、非常に有益な生体信号ですので、ヒトの活動や状態を客観的に評価できます。例えば、調査会社が行っているアンケート調査を置き換えたり、今まで病院に行かないと診断できなかった病気を手軽に判別できるようになるかもしれません。

PGVはこの短所を独自の脳波計とAI解析で克服しているのですが、別の機会に紹介するようにします。また、具体的な事例の紹介も行っていくつもりです。

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