PGVスタッフブログ『ハルの脳日記』

Episode2-2 「脳波を使う 冴えたやり方」

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Episode2-2『脳波を使う 冴えたやり方』

 


 

脳波でなにができるんですか?という多部さんの質問に、丁寧に答えていきましょう。

 

「えーっと、多部さん。
 たとえば、サンプル飲料を飲んだ人には、なにが起きるんでしょうか?」
「うーん、喉が渇いてたのが潤った・・・かな?」
「じゃあ、もうちょっと詳しく。
 "その飲料でなければならない"ポイントって、どこなんでしょうか?
 喉を潤すだけなら水道水でもいい、って言えませんか?」

「あぁ、そういうことで言えば、今考えている商品は"やる気が出る!" がポイントなんですよね〜」

やる気を語るWeb多部さん


「なるほど。じゃあ、飲料を飲むと、その人は飲む前より"やる気が出てる"という感じですね」
「そうなるといいなぁ〜、という商品ですね。でも、それってアンケートだとイマイチ曖昧で」
「そうかも知れませんね。でしたら、より客観的に飲んだ人の状態を表現する手段として、
 脳波を使う、というのはアリだと思いますよ」

「それそれ!そういう話が聞きたいんです」

 




わかりやすく&雰囲気を出すために、この"飲料"を"やる気ドリンク"と呼んで、このストーリーを簡単に図で表してみましょう。

調べたいことは

  やる気ドリンクを飲んだ人は、飲む前より「やる気が出る」か?

という内容になります。

やる気比較

さて、脳波を使って、これをどう調べるのでしょう?

「え〜、そんなの、ドリンクを飲んでる間に、
 どんどん脳波がやる気モードになってくるんじゃないですか?
 なんかアルファ波じゃなくって、なんとか波が出てくる、みたいな」

 

そういう簡単な話でもないのです。前回にも書いたように「人がこういう状態になったらアルファ波が出る」とか「アルファ波が出てるからこの人の状態はこう」とは言い切れないのが脳波。

特に厄介なのが「脳波の繊細さ」
ドリンクをごくごく飲む、という動作だけで、喉や顔の筋肉が動きます。その筋肉の動きで一気に、繊細な脳波は乱れてしまうのです。こうなると、データとして信用できない(=使えない)ものになります。

そのため、私たちが提案するのは、こういう計測方法(プロトコル)です。

  1. ドリンクを飲む前に、安静状態できれいに脳波を計測する。
  2. ドリンクを飲んだ後に、安静状態できれいに脳波を計測する。
  3. 1と2の脳波を比較し、変化しているかどうかを調べる。

前後脳波の比較

 

「え、それだけなんですか? なんとな〜く、ですけど
 脳波が違うかどうかって、毎回何かちょっとは変わりそうですけど?」
「そうですよね、それはすごく正しい直感です。
 確かに "なにかをすると脳波は変化しちゃう" のが普通なんです。

 なので、もうひとひねりして考えてみましょうか」


  1. やる気ドリンクの「ストロング(A)」と「弱い(B)」バージョンを用意する
  2. AとBを別々に、飲む前後の脳波を計測する
  3. Aを飲む前と後、Bを飲む前と後の、前後の脳波の差を調べる
  4. Aの脳波の前後差と、Bの前後差の、どっちが「より変化したか」を調べる

前後比較の比較


 

「こうすると、AとBで、どっちが強いかが、数値で示そうじゃないですか?」
「おぉ〜。つまり、どっちが効き目があるか分かるってことですね?」
「これだけではっきりと "効き目がある" とは言い切れないですけど。
 でも少なくとも、"なにか" の ”反応の違い" を示せますね」

「・・・えらく慎重ですねぇ? なんか煮え切らない、ハルさん」
「はい、えぇ、脳波はそれだけ繊細なんですよ〜」

 

そうなんです。今回すごく歯切れの悪いわたし。
なぜこんな遠回りな考え方・やり方をとるのか。次回お話ししましょう。

 

2023.12.25

(つづく)

 


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